相続した実家が売れない5つの理由。あなたの家がどれかで、次にやることは変わります

親の家を相続してから、何年か経っていませんか。

売ろうとは思っている。不動産会社に相談したこともある。それでも話が前に進まないまま、固定資産税の通知だけが毎年届く。そういう状態のまま止まっている人は、けっこう多いはずです。

私も親の家をこの先どうするのか考えはじめたところです。まず何から手をつければいいのか分からず、しばらく放っておいた時期がありました。調べはじめて分かったのは、売れない家には理由の型があるということです。その型によって、次にやることがまるで違ってきます。

この記事で分かること

相続した実家が売れないときに考えられる五つの型
自分の家がどの型にあたるのかを切り分ける手順
型によって、打てる手がどう変わるのか
査定を取ることと、売ると決めることの違い

制度の部分は国の資料にあたって書いています。どこで確認したのかと、確認した日付をそのまま載せました。空き家まわりの制度は毎年のように変わるので、読んだ時期によっては内容が違っているかもしれません。

相続した実家が売れないのは、あなたの努力が足りないからではない

先に結論を書きます。

相続した家が売れないとき、その原因のほとんどは家と土地の条件にあります。頑張りが足りないとか、相談した相手が悪かったとか、そういう話ではないことが多い。

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2千戸。空き家率は13.8%で過去最多になりました。このうち賃貸用でも売却用でもない「その他の空き家」が385万戸あります。相続して持て余している家の多くは、ここに入ります。

つまり、同じところで止まっている人が何百万人という単位でいるということです。自分だけが動けていないわけではない。

そのうえで、動かすには順番があります。原因が分からないまま不動産会社を回っても、同じ返事をもらって終わるだけでした。私が最初にやってしまったのが、まさにそれです。

売れない家は、五つの型に分かれる

相続した実家が売れない五つの型の一覧

生成AIで作成したイメージです

調べていくうちに、買い手がつかない理由はだいたい五つに整理できると分かってきました。

型1 建て替えができない土地である

道路への接し方で建て替えの可否が変わることを示した図

生成AIで作成したイメージです

買う人の多くは、古い家を壊して新しく建てるつもりで土地を見ます。ところが、その建て替えができない土地があります。いわゆる再建築不可と呼ばれるものです。

道路に接している幅が足りない。あるいは、そもそも建築基準法上の道路に面していない。こういう土地では、いまの建物を壊したあとに新しい建物を建てられません。すると買い手から見て、その土地でできることが一気に減ります。値段の問題というより、使い道の問題です。

昔からある住宅地や、私道の奥にある家では珍しくありません。親の代に建てたときは問題がなくても、その後に法律が変わっている場合もあります。

ただ、不動産会社に再建築不可と言われても、役所で調べ直すと建て替えられることがあります。確かめ方は再建築不可と言われた実家は売れない?にまとめました。

型2 昭和56年5月31日以前の古い耐震基準で建っている

昭和56年6月1日を境に新旧の耐震基準が分かれることを示した年表

生成AIで作成したイメージです

建物の耐震基準は昭和56年、西暦でいうと1981年の6月1日に大きく変わりました。国土交通省は、この日以降の基準を新耐震基準と呼び、震度6強から7程度の揺れでも倒壊しないことを求めています。逆にそれ以前のものは旧耐震と呼ばれ、耐震性が十分でないものが多いとされています。

ここで大事なのは、建った日ではなく建築確認を受けた日で判断するという点です。確認済証に書かれた日付が昭和56年6月1日以降かどうかを見ます。昭和55年に確認を受けて昭和57年に完成した家は、旧耐震の扱いになります。

出典は国土交通省の「住宅・建築物の耐震化について」で、2026年9月17日に確認しました。
住宅・建築物の耐震化について(国土交通省)

旧耐震だと買い手が住宅ローンを組みにくくなることがあります。買いたい人がいても、お金を借りられないので話がまとまらない。これが地味に効きます。

型3 名義が自分ひとりではない

相続人が複数いて、兄弟の共有名義のままになっている家です。

共有になっていると、家全体を売るには共有者全員の合意が要ります。ひとりでも連絡がつかなかったり、気持ちが固まっていなかったりすると、そこで止まります。感情の問題が絡むので、条件の話だけでは動きません。

そもそも名義が親のままという家も相当あります。相続登記が済んでいない状態では、売る手続きに入れません。

型4 過去に人が亡くなっている

いわゆる事故物件と呼ばれるものです。正確には心理的瑕疵といいます。

国土交通省は令和3年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しています。不動産会社が買主や借主に何を伝えるべきかの考え方を整理したもので、自然死や日常生活のなかでの事故については、伝えなくてよい場合があるという整理が含まれています。2026年9月17日に確認しました。
宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(国土交通省・令和3年10月)

自宅で親を看取った家が、その一点で売れなくなると思い込んでいる人がいます。ガイドラインの考え方を先に読んでおくと、必要以上に不安にならずに済みます。個別の案件でどう扱われるかは不動産会社の判断になるので、そこは相談する相手に確認してください。

型5 その場所に、そもそも買いたい人がいない

家にも土地にも欠点はない。それでも売れない。いちばん打つ手が少ないのがこの型です。

人口が減っている地域では、値段を下げても買い手が現れないことがあります。仲介というのは買いたい人を探してくる仕組みなので、探す相手がいない場所では成立しません。

ここで値下げを繰り返すと、売れないまま時間だけが過ぎます。仕組みが合っていないのに、同じ仕組みの中で頑張っている状態です。

相続した実家がどの型にあたるのか、先に切り分ける

売れない家の型を切り分けるフローチャート

生成AIで作成したイメージです

五つ並べましたが、順番としてはここが本題です。型が分からないまま動くと、遠回りになります。

手元の書類だけで、かなり分かる

名義の状態は登記事項証明書で分かります。法務局の窓口でも、オンラインでも請求できる書類です。誰の名義になっているのか、何人で共有しているのか。そこに全部書いてあります。

建築確認の日付は確認済証か検査済証を探します。見つからない場合は、自治体で建築計画概要書が残っていることがあります。

道路に接している状況は、自治体の窓口で確認するのが確実です。役所のどの課が担当かは自治体によって違うので、代表番号にかけて「接道の相談をしたい」と伝えれば案内してもらえます。

型がひとつとは限らない

ここが厄介なところで、実際には重なっていることが多いです。

地方にある、昭和50年代に建てられた、兄弟三人の共有名義の家。この時点で型2と型3と型5が重なっています。重なっている場合、いちばん重い型から手をつけることになります。名義が固まっていなければ、どんな売り方を選んでも前に進めないので、たいていは型3が先です。

型が分かると、その空き家に打てる手が変わる

ここまでが切り分けの話でした。では、分かったあとに何が変わるのか。

仲介では動かない家が、別の売り方なら動くことがある

仲介は、買いたい個人を探してくる方法です。だから建て替えができない土地や旧耐震の家のように、買う人の選択肢が狭まる物件では苦戦します。

一方で、再建築不可や共有持分、心理的瑕疵のある物件を専門に買い取っている会社があります。自分で住むためではなく、事業として引き受けるのが前提。だから一般の買い手が避ける条件でも、話が進む場合がある。もちろん、どんな物件でも引き受けてもらえるわけではありませんし、価格も仲介で売れた場合とは違ってきます。

大事なのは、断られたのが仲介という方法とだけ相性が悪かったのか、家そのものの問題なのかを区別することです。そこを混同したまま「うちの家はもう無理だ」と結論を出してしまうのは、もったいない。

すでに不動産会社に断られているなら、不動産屋に断られた空き家は、なぜ断られたのかも読んでみてください。断る側の事情と、言われ方による次の一手の違いをまとめています。

査定を取ることは、売ると決めることではない

最後にこれだけは書いておきたいです。

査定を頼むと、そのまま売る流れに乗せられるのではないか。断りたくなったときに断れないのではないか。そう思って手が止まっている人は、たぶん多いと思います。私もそこで一度止まりました。

でも査定は、いまの条件でいくらくらいになりそうかという見積もりです。契約ではありません。金額を聞いたうえで、やめておくという結論になっても構わない。

むしろ数字が一枚あると、話ができるようになります。兄弟に「こういう金額だった」と伝えられる。親の家をいくらで手放すことになるのかを、はじめて具体的に考えられる。決めるための材料であって、決めたことの証明ではありません。

売ると決めてから動くのではなく、決めるために数字を取りにいく。順番を逆にすると、少し気が楽になります。

断るときに何と言えばいいのかが気になるなら、空き家の無料査定は、あとから断れますを読んでみてください。そのまま口に出せる言い方と、媒介契約を結ぶ前に見ておく項目をまとめました。

相続した実家が売れないことについて、よくある質問

何年も放置してしまいました。いまさら動いても遅いでしょうか

遅いということはありません。ただ、建物は傷みますし、管理が行き届かない状態が続くと近隣とのやりとりが増えていきます。時間が経つほど選択肢が減るのは事実なので、状況の把握だけでも先にしておくと違います。

不動産会社に断られました。もう売れないということですか

断られた理由を聞いてみてください。仲介では扱いにくいという意味であれば、買取を専門にしている会社で話が変わることがあります。会社によって得意な物件が違うので、一社の回答がすべてではありません。

仲介を続けるか買取に切り替えるかで迷ったら、空き家は仲介と買取どっち?で決め方と金額の確かめ方をまとめています。

兄弟と話がまとまりません。先に査定だけ取ってもいいのでしょうか

査定を取ること自体は売却ではないので、先に金額を把握しておくのは現実的なやり方だと思います。ただ、あとから「勝手に進めた」と受け取られると話がこじれます。取る前にひとこと伝えておくほうが、結果的に早いはずです。

解体して更地にしたほうが売れますか

売りやすくなる場合もありますが、解体には費用がかかりますし、建物がなくなることで固定資産税の扱いが変わることがあります。税額の話は個別の事情で変わるため、自治体の担当窓口か税理士に確認してください。ここで断定できる話ではありません。

壊しても状況が変わらないのはどんなときかは、空き家を更地にしても売れないことがあるにまとめました。

この記事に書かれている制度は、いまも同じですか

本文に書いた内容は2026年9月17日時点で国の資料にあたって確認したものです。空き家と相続まわりの制度は改正が続いているので、実際に動くときは原典を見直してください。記事の内容に誤りを見つけたら、お問い合わせから教えてもらえると助かります。

まとめ 相続した実家が売れないなら、まず型を見きわめる

売れない理由は五つ。建て替えができない土地・古い耐震基準の建物・共有のままの名義・人が亡くなった経緯・買い手のいない場所
型はひとつとは限らず、重なっていることが多い。名義の問題があるときは、そこが最優先
登記事項証明書と建築確認の日付を見れば、手元でかなり切り分けられる
仲介で断られたことと、家そのものに価値がないことは同じではない
査定は契約ではない。決めるための材料として取っていい

親の家をどうするかは、条件の話であると同時に気持ちの話でもあります。踏ん切りがつかないのは自然なことだと思います。

それでも、自分の家がどの型なのかを知っておくことに、損はありません。売ると決めていなくても調べられます。今日できるのは、登記事項証明書を一通取ることくらいかもしれない。それで十分です。

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