不動産屋に断られた空き家は、なぜ断られたのか。理由の見分け方と次の一手

相続した空き家のことで不動産屋に相談して、うちでは扱えませんと言われた。そういう経験はありませんか。

電話口であっさり断られることもあれば、現地まで来てもらったうえで難しいですねと言われることもあります。どちらにしても、そのあとに残るのは同じ気持ちだと思います。この家には値段がつかないのか。もう誰も引き受けてくれないのか。

私も親の家について調べはじめてから、断られた人の話をいくつも読みました。そして気づいたのは、断る側にも事情があって、それは必ずしも物件の価値の話ではないということです。

この記事で分かること

不動産屋が空き家を断る三つの理由
断られ方によって、次にやることがどう変わるか
仲介で断られた家を買取業者が買える仕組みと、そのかわりに何が起きるか
相談し直す前に、手元で確かめておくこと

業者側の事情は推測では書けないので、国土交通省が公表している資料にあたりました。確認したのは2026年9月21日です。

空き家を不動産屋に断られても、打つ手が残っていることがある

先に答えを書きます。断られた理由が物件そのものにあるとは限りません。相談した相手の事情や、その地域の状況が理由になっていることがあります。

だから、一社に断られた時点で結論を出すのは早い。仲介という方法と相性が悪かっただけなのか、家そのものに解きほぐすべき問題があるのか。そこを分けて考えると、次にどこへ持っていけばいいかが見えてきます。

まず、断る側に何が起きているのかから書きます。

不動産屋が空き家を断る理由は、だいたい三つ

日本の地方の住宅街の人通りのない生活道路

生成AIで作成したイメージです

三つとも、家の価値とは別の話です。順番に見ていきます。

そもそも近くに不動産屋がいない地域がある

ここがいちばん見落とされるところです。

国土交通省が令和6年6月に公表した「不動産業による空き家対策推進プログラム」の資料に、全国1,747の市区町村ごとの宅地建物取引業者の事務所数が載っています。それによると、事務所が0店舗の自治体が247、全体の14%。1店舗から5店舗の自治体が392で22%です。合わせると、およそ三分の一の自治体に5店舗以下しかありません。2026年9月21日に確認しました。
不動産業による空き家対策推進プログラム(国土交通省・令和6年6月)

同じ資料は背景として、地方部を中心に宅建業者の減少が見られ、空き家対策の担い手確保が困難になるおそれがあるとも書いています。

つまり、断られたのではなく、そもそも手の空いている会社が近くにない場合がある。国がわざわざ対策プログラムを作る程度には、この状況は広がっています。

安い空き家は、手数料が業務量に見合わない

二つめは、お金の計算の話です。

仲介手数料は物件価格に料率をかけて決まるので、安い家ほど手数料が小さくなります。ところが空き家の調査にかかる手間は値段に比例しません。遠方の現地確認、権利関係の確認、残置物の状況。金額の小さい物件ほど割に合わなくなります。

この問題は国も認識していて、令和6年7月1日から仲介手数料の特例が設けられました。国土交通省の消費者向けページによると、価格が800万円以下の宅地建物については上限が30万円の1.1倍、税込33万円までとされています。2026年9月21日に確認しました。
不動産取引に関するお知らせ(国土交通省・消費者の皆様向け)

この特例を使うかどうかは事前の合意が要ります。国土交通省が通達の改正内容をまとめた資料にはこう書かれています。媒介契約や代理契約の締結に際してあらかじめ報酬額について依頼者に説明し、合意する必要があることに特に留意する。
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の改正(国土交通省・令和6年7月1日施行)

国が上限を引き上げたという事実からは、それまでの報酬では引き受けにくい事情があったと読めます。ここは私の受け取り方なので、そう読んだという程度に取ってください。ただ、安い空き家の相談が軽く扱われたと感じた経験があるなら、その感覚には裏づけがあります。

売れる見込みが立たない物件は、引き受けにくい

三つめが、ようやく物件の話になります。

仲介は買いたい人を探してくる仕事なので、探す相手がいなければ成立しません。再建築ができない土地、旧耐震の建物、共有名義のまま動かせない家。買う人の選択肢が狭まるほど、探す側の見通しも立たなくなります。

ここで大事なのは、見込みが立たないことと価値がないことは違うという点です。一般の買い手向けには難しくても、別の引き受け方なら成立することがあります。詳しくは後ろの節で。

断られたのは、あなたの家の価値がゼロという意味ではない

三つ並べると、構図が見えてきます。担い手が足りない地域があり、安い物件は採算が合いにくく、仲介という方法では探す相手が見つからない。どれも、あなたの判断が遅かったからでも、家の手入れが足りなかったからでもありません。

ちなみに同じ資料には、所有者側の課題も並んでいます。利活用を決断できない。放置した場合の課題を想像できない。物件から離れていて管理困難。煩雑な手続に対応できない。何から考えたらよいか分からない。国の資料に自分の状態がそのまま書いてあるのを見ると、少し気が楽になるかもしれません。

空き家を断られた言い方によって、次にやることが変わる

ここからは実際の動き方です。何と言われたかを思い出してください。言葉が違えば、次の一手も変わります。

「仲介では扱えない」と言われた場合

これは方法の話をしています。買いたい個人を探してくる仕事としては成立しにくい、という意味です。

この場合、買取を専門にしている会社に持っていくと話が変わることがあります。探す相手がいなくても成立する仕組みだからです。次の節で仕組みを書きます。

「買取はできない」と言われた場合

相談した相手が買取もやっている会社なら、その会社の基準に合わなかったということになります。

買取業者は再販や活用の道筋が描けるものを引き受けます。だから得意な物件が会社ごとに違う。再建築不可を専門にしている会社、共有持分を扱う会社、地方の戸建てを扱う会社。一社の基準がすべてではないので、系統の違う会社に当たり直す価値があります。

理由を教えてもらえなかった場合

いちばん困るのがこれです。難しいですね、とだけ言われて終わる。

聞き方を変えてみてください。どこがネックになっているのかを一点だけ教えてもらえませんか、と。接道なのか、名義なのか、価格帯なのか。ひとつでも分かれば、次に相談する相手を選べます。

理由が分からないまま同じ条件で別の会社を回っても、同じ返事が返ってくるだけです。私はここで遠回りをしている人が多いと感じました。

売ること以外を頼む道も残っている

あまり知られていませんが、不動産会社に頼めるのは売買の仲介だけではありません。

先ほどの通達の改正資料には、媒介以外の関連業務の例が並んでいます。

  • 除草・通風・通水・清掃
  • 定期的な点検
  • 修繕の提案
  • 家財の片付け
  • 郵便物の保管や転送
  • 利活用に向けた課題整理
  • 相続の相談や手続支援
  • 境界確定や権利者間協議の支援
  • 専門職種の紹介

報酬の扱いについても書かれています。媒介契約との区分を明確にしたうえで、媒介契約とは別に書面等で契約を結んで報酬を受ける場合は、宅建業法の報酬規制の対象にならない。そして資料の結びはこうです。宅建業者には、媒介業務にとどまらない役割の発揮が期待される。2026年9月21日に確認しました。

つまり、売買は引き受けられないけれど管理や片付けなら頼める、という会社があり得ます。当然ながら別途の費用がかかる有料のサービスです。それでも、遠方に住んでいて現地の様子が分からないまま止まっているなら、まず管理だけ頼んで状況をつかむという順番もあります。

断られたときに聞いてみてください。売買が難しいのは分かりました、管理や片付けだけお願いすることはできますか、と。

仲介で断られた空き家を、買取業者はなぜ買えるのか

家具を運び出したあとの和室

生成AIで作成したイメージです

断られた人がいちばん知りたいのはここだと思います。仕組みを理解しておくと、話が早くなります。

買う相手を探さなくていい

仲介は、売主と買主のあいだに立って買いたい人を探す仕事です。買取は、業者自身が買主になります。

この違いが決定的です。探す相手が見つからない地域でも、引き受ける会社が一社あれば話は進みます。住宅ローンの審査を通す必要もないので、旧耐震や再建築不可で融資がつきにくい物件でも成立しやすくなります。

そのかわり、価格は下がる

ここを隠して書くつもりはありません。

買取業者は買ったあとに手を入れます。修繕することもあれば、権利関係を整理することもあり、活用の方法を考えることもある。その費用と手間に事業としての利益を乗せたうえでの金額になります。仲介で一般の買い手に売れた場合と同じ金額にはなりません。

だから、仲介でまだ売れる可能性があるなら、そちらを先に試すほうが手元に残る金額は大きくなります。買取は、その道が閉じているときの選択肢です。

建物を壊して更地にすれば仲介で売れるのでは、と考えているなら、壊す前に空き家を更地にしても売れないことがあるを読んでみてください。解体費は戻ってこないので、順番が大事です。

どんな家でも買えるわけではない

買取なら必ず引き受けてもらえる、という話でもありません。会社ごとに扱える範囲があり、対応エリアも決まっています。

断られることもあります。ただ仲介と買取では判断の基準がそもそも違うので、仲介で断られたことを理由に買取もだめだと決める必要はありません。

空き家の買取に相談する前に、手元で確かめておくこと

相談の前に分かっていると、話が具体的になります。全部そろっていなくても構いません。

確かめること どこで分かるか
誰の名義になっているか 登記事項証明書。法務局の窓口かオンラインで請求できる。共有なら人数も分かる
いつ建てられたか 確認済証か検査済証。見つからなければ自治体に建築計画概要書が残っていることがある
道路への接し方 自治体の窓口。代表番号にかけて接道の相談をしたいと伝えれば案内してもらえる
家の中に何が残っているか 現地。写真を撮っておくと、そのまま相談に使える
断られた理由 前に相談した会社。一点だけでも聞き出しておく

どの型にあたるのかを先に切り分けておくと、相談の質が変わります。切り分け方は相続した実家が売れない5つの理由にまとめました。

PR空き家買取本舗|仲介で断られた家の買取専門

相談・査定・現地調査は無料で、査定のあとに売却を強いることはないと公式サイトにあります。入力はお名前と電話番号だけ。対応エリアは申し込みページでは全国対応可、よくある質問では関東全域です。関東の外の物件は、申し込みのときに確かめてください(2026年9月24日確認)。

不動産屋に断られた空き家について、よくある質問

何社も断られました。もう無理ということでしょうか

断られた相手がどれも仲介中心の会社であれば、まだ試していない方法が残っています。仲介と買取は判断の基準が違うためです。ただ、対応エリアの問題で引き受け手が見つかりにくい地域があるのも事実なので、そこは正直なところです。

断られた理由を教えてもらえません

ネックになっている点を一つだけ教えてほしい、という聞き方に変えてみてください。全部を説明してもらおうとすると相手も答えにくくなります。ひとつ分かれば、次に相談する相手を選べます。

買取だと安く買い叩かれませんか

仲介で一般の買い手に売れた場合と同じ金額にはなりません。買ったあとの費用と事業としての利益が入るためです。だからこそ、仲介でまだ動く可能性があるなら先にそちらを試すほうがいいです。複数の会社に相談して、金額の根拠を聞いてください。聞き方は空き家は仲介と買取どっち?に書きました。

相談したら断りにくくなりませんか

査定や相談の段階では、まだ何も約束していません。金額を聞いたうえでやめる判断もできます。断り方については空き家の無料査定は、あとから断れますにまとめてあります。

放っておいたら、どうなりますか

先ほどの国土交通省の資料にはこうあります。空き家を放置すると湿気がこもりやすく破損にも気づきにくいため劣化が進行し、利活用が困難になって取引価格も下落する。時間が経つほど選択肢が減るという意味では、動けるうちに動いたほうが有利です。

まとめ|不動産屋に断られた空き家は、相手を変えると話が変わることがある

断られる理由は、担い手不足の地域・安い物件の採算・仲介では買い手が探しにくいこと。いずれも家の価値の話とは限らない
全国1,747市区町村のうち、宅建業者の事務所が0店舗の自治体が247ある(国土交通省・令和6年6月)
「仲介では扱えない」と「買取はできない」は別の話。言われた言葉で次の一手が変わる
売買を断られても、管理や片付けだけを有料で頼める場合がある(国土交通省の通達改正資料)
買取は買い手を探さなくていいぶん成立しやすく、そのかわり価格は仲介より下がる
断られた理由を一点だけでも聞き出しておくと、次の相談先を選べる

断られたときに、自分の家が世の中から要らないと言われた気がする。その感覚はよく分かります。ただ、ここまで見てきたとおり、断る側の事情のほうが大きいことは珍しくありません。

相手を変えれば話が変わることがある。それだけ分かっていれば、もう一度だけ動いてみる気になれるのではないかと思います。

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