
空き家を壊すなら、市の補助金が使えるらしい。そう聞いて調べてみたら、条件が細かくて自分の家が当てはまるのかわからない。あるいは、もう工事の話を進めてしまってから、補助のことを知った。
解体の補助金は、うまく使えば数十万円の差になります。でも、ひとつ順番をまちがえるだけで、一円ももらえなくなる制度でもあります。
この記事で分かること
解体の補助金がもらえなくなる、いちばん多い理由
補助の対象外になる家の条件
申請の前に、やってはいけないこと
申請に必要な見積書の用意のしかた
補助金の中身は市町村ごとに違います。この記事では、関西の例として神戸市の「老朽空家等解体補助制度」の公式ページと2026年度の申請手引き、よくある質問を読んで書いています。2026年9月24日に確認しました。自分の家のある市町村の制度は、かならず窓口で確かめてください。
空き家の解体補助金がもらえない、いちばん多い理由は「順番」
神戸市の申請の手引きには、太い字でこう書いてあります。補助金を出すと決まってから、解体の業者と契約して、工事を始めること。決まる前に契約したり工事を始めたりすると、補助は受けられません。
つまり、「業者を決めて契約した。そのあとで補助をたのもう」は通らないのです。解体をいそいでいるときほど、この落とし穴にはまりやすくなります。
解体補助の正しい順番(神戸市の場合)
1見積もりを取る(契約はまだしない)
2見積書をそえて補助を申請する
3交付決定を受ける
4決定のあとで業者と契約し、工事を始める
ほかの市町村でも、工事の前に申請することを条件にしている制度があります。順番の決まりは制度ごとに違うので、業者と話を進める前に窓口で聞いてください。
空き家の解体補助の対象外になる、そのほかの理由

生成AIで作成したイメージです
順番のほかにも、対象外になる理由はいくつかあります。神戸市の制度で見てみます。
建てられた時期が新しい
神戸市の補助は、1986年(昭和61年)12月31日以前に建てられた建物が対象です。それより新しい家は対象になりません。制度によって年の区切りは違います。
傷みがない、空き家になっていない
対象になるのは、くさったりこわれたりしている空き家です。それに神戸市のよくある質問では、申しこむ日より前に空き家になっていないといけない、としています。
家だけ壊して、ほかを残そうとしている
意外と見落としがちなのがここです。神戸市では、しき地の中の倉庫・蔵・門・塀・車庫、それに生垣などの木までぜんぶ取りのぞくのが原則。「母屋だけこわして、物置はのこしたい」だと、条件から外れることがあります。
登記されていない増築部分がある
補助がいくらになるかは、登記や固定資産税の書類にのっている広さで決まります。あとから建て足して登記していないところや、べつの小屋の広さは入りません。そのぶん、思っていたより少なくなることがあります。
相続人全員の同意がない
相続した家で名義が親のままなら、戸籍などで「親の家を受けついだ」ことを示す書類がいります。相続した人が何人かいるときは、みんなから「こわしていい」と言ってもらっておかなければなりません。
空き家の解体補助は、予算が先に終わることがある
もうひとつ、知っておきたいのが予算です。神戸市の制度は先着順で、予算の上限に達した時点で受付が終わります。公式ページによると、2026年8月末の時点で予算の54%が使われていました。
受付の期間は2027年1月12日までです。でも、その日まで受け付けてもらえるとはかぎりません。「来年でいいか」とのばしているうちに、その年の受付がおわってしまうこともありえます。
国にも、空き家の除却、つまりとりこわしなどをあとおしする「空き家再生等推進事業」というしくみがあります。ただ、持ち主が申しこむ先は市町村の補助です。まずは実家のある市町村に、解体の補助があるかを聞いてみてください。
空き家再生等推進事業について(国土交通省)
空き家の解体補助の申請には、見積書が要る
神戸市の場合、申請のときに解体工事の見積書を1社分出します。手引きのおすすめは、2社以上の見積もりをくらべること。見積書そのものにも、こまかい条件があります。
神戸市の申請で求められる見積書の条件
宛名が申請する人の名前になっている
解体する建物の地番か住所が書いてある
申請する日の時点で、見積もりの有効期限が切れていない
明細が書いてある
業者の建設業許可か、解体工事業の登録の写しもあわせて出す
見積もりを取るのは、契約とは違います。補助の順番を守るうえでも、まずは見積もりだけを集めて、金額と日程の目安をつかんでおくのが安全です。見積もりを頼むときに「補助の申請に使う」と伝えておけば、宛名や明細の条件にも合わせてもらいやすくなります。
見積もりを何社にも頼むと電話が鳴りやまないのでは、と心配なら、窓口がひとりにまとまる仕組みのサービスもあります。選び方は解体の一括見積もりは電話がしつこい?にまとめました。
PR解体無料見積ガイド|補助の申請前に見積もりをそろえたい人に
最大6社の見積もりを無料で比べられます。業者から直接の電話はなく、断りも代行(2026年9月24日確認)。
補助の交付決定が出るまでは、どの業者とも契約しないでください。見積もりを取っただけなら、あとから断っても問題ありません。
空き家の解体補助金について、よくある質問
もう業者と契約してしまいました。補助は受けられませんか
神戸市の制度では、交付決定の前に契約や着工をすると補助は受けられません。ほかの市町村の制度については、まずは窓口に事情を話して確かめてください。
壊したあとに土地を売る予定でも、補助は使えますか
神戸市のよくある質問では、解体したあとの土地の使い方(建て替えるか売るかなど)についての要件はないとしています。ほかの市町村では条件がつくこともあるので、確かめてください。
補助金はどのくらいもらえますか
神戸市の場合は、床面積に応じて20万円から60万円です(3戸以上の共同住宅で100平方メートル以上なら70万円から100万円)。見積もりの金額が上限になります。金額は市町村ごとに大きく違います。
まとめ|空き家の解体補助は「契約の前に申請」がすべて
いちばん多い失敗は順番。交付決定の前に契約や着工をすると補助は受けられない(神戸市)
建てた時期・傷み・空き家かどうかで対象が決まる
母屋だけでなく倉庫・門・塀・生垣まで取りのぞくのが条件のことがある
予算は先着で、年度の途中で終わることがある
申請には見積書が要る。まずは見積もりだけ集めて、契約は決定のあとに
補助金は、知らなければ使わないまま終わってしまうお金です。でも、順番さえ守れば手の届くお金でもあります。実家のある市町村に制度があるかを聞いて、見積もりをそろえる。その二つから始めてみてください。
