
空き家を壊すと決めた。でも、いつ壊せばいいのかがわからない。年内に片付けてすっきりしたい気もするし、年明けまで待ったほうがいいという話も聞く。
じつはこの迷い、気分の問題ではありません。固定資産税は、1年のうちたった1日、1月1日の状態で決まる仕組みになっています。壊す日が数日ずれるだけで、1年分の税金の中身が変わることがあるのです。
この記事で分かること
固定資産税が1月1日の状態で決まる理由
年内に壊すか年明けに壊すかで、何が変わるのか
年をまたぐ解体や、勧告を受けたときの注意
解体の時期を決めるために、先にやっておくこと
法律の部分はe-Gov法令検索で地方税法の原文を、運用の部分は神戸市の案内を読んで確かめています。2026年9月24日に確認しました。自分の家の税額は、市町村の資産税の窓口で確かめてください。
空き家の固定資産税は、1月1日の状態で1年分が決まる
地方税法359条は、固定資産税の賦課期日を「1月1日」と定めています。むずかしい言葉ですが、その年の税金をだれに、何にかけるのかを決める「基準の日」のことです。
神戸市の案内には、わかりやすい例が載っています。ある年の途中で家を取り壊しても、その年の1月1日に家が建っていれば、家屋の固定資産税は1年度分かかる。反対に、1月1日の時点で家がなければ、その年度の家屋の固定資産税はかかりません。
つまり、1月2日に壊しても12月31日に壊しても、その年にはらう家の税金は同じ。かわるのは、次の1月1日をむかえたときに家があるかどうかです。
空き家を壊す時期で、土地と建物の税金はこう変わる

生成AIで作成したイメージです
ややこしいのは、建物と土地で向きが逆になることです。
建物は、なくなれば家屋の税金がかからなくなります。一方で土地には、住宅が建っていると税金を軽くする「住宅用地の特例」があります(地方税法349条の3の2)。家を壊して1月1日を迎えると、この特例の前提である住宅がなくなるため、その年度から土地の税金の計算が変わります。
壊した時期と、次の年度の固定資産税
1年内(12月31日まで)に壊し終わる → 次の年度から家屋の税金はなし。土地は住宅用地の特例がなくなる
2年明け(1月2日以降)に壊す → その年度は家屋の税金がかかるが、土地は特例のまま。変わるのは翌年度から
31月1日に工事の途中 → 家として残っているかで扱いが分かれる(自治体に確認)
どちらが得かは、家の税金と、特例が外れたときに土地の税金がどれだけふえるかのくらべっこです。どちらが大きいかは、土地の広さや値うち、家の古さによって変わります。住宅用地の特例がどのくらい税金を軽くしているのかは、空き家を更地にしても売れないことがあるにくわしく書きました。
いずれにしても、自分の家の数字がわからないと決められません。毎年届く固定資産税の通知には、土地と家それぞれの税金がいくらかが書いてあります。まずはそれを手元に置いてください。
年をまたぐ解体は、自治体によって扱いが違う
12月に工事を始めて、終わるのが1月になる。そんなときはどうなるのでしょうか。
神戸市の案内では、1月1日の時点で屋根や外壁がもうなく、もう家とは言えないとわかれば家はなくなったものとして扱うそうです。その場合、家の固定資産税はかかりません。ただ、これは神戸市の扱いです。年をまたぎそうなら、工事を始める前に実家のある市町村の資産税の窓口に聞いておくと安心です。
勧告を受けると、壊さなくても特例が外れる
もうひとつ、知っておきたい落とし穴があります。地方税法349条の3の2は、空家法にもとづいて勧告を受けた管理不全空家や特定空家の敷地を、住宅用地の特例から外すと定めています。
「壊すと税金が上がるから、とりあえず置いておこう」。そう考えていても、手入れをしないまま勧告を受ければ家が建ったままで特例がなくなる。置いておくことが、いちばん安全な選択とは限らないのです。
空き家を壊したあとに、忘れずにやること
建物を壊したら、1か月以内に建物の滅失登記を申請することになっています(不動産登記法57条)。怠ると10万円以下の過料の対象です(同法164条)。
登記の上で家が残ったままだと、市町村が家のようすを知るのがおくれることもあります。壊したら登記まで。ひとつながりの作業だと思っておいてください。登記をしていない家だったときの届け出のしかたは、市町村によってちがいます。
空き家の解体の時期は、見積もりで日程の目安をつかんでから決める
時期を決めるうえで意外に大事なのが、業者の日程です。「12月中に終わらせたい」と思っても、そう簡単にはいきません。見積もりを比べて業者を決めて近所にあいさつをして……とやっていると、思ったより日にちがかかるものです。建物の大きさによっては、着工前の届け出がいることもあります。
だからこそ、壊す月を決める前に、見積もりを取って「いつなら始められるか」「どのくらいで終わるか」を聞いておくのがいちばん確かです。見積もりを取ったからといって、その業者に頼まなければいけないわけではありません。
見積もりをたのむと電話が何社もかかってくるのでは、と心配なら、窓口が一人にまとまる仕組みのサービスもあります。選び方は解体の一括見積もりは電話がしつこい?にまとめました。
PR解体無料見積ガイド|日程と費用の目安をまとめて聞きたい人に
最大6社の見積もりを無料で比べられます。業者から直接の電話はなく、断りも代行(2026年9月24日確認)。
空き家の解体と固定資産税について、よくある質問
1月1日の時点で更地なら、土地の固定資産税はかかりますか
土地の固定資産税はかかります。家がないので住宅用地の特例がなくなり、税金を計算するもとになる額が大きくなります。実際にいくらになるかは土地ごとに違うので、市町村の資産税の窓口で聞いてみてください。
年の途中で壊したら、家屋の税金は月割りで戻ってきますか
神戸市の案内では、1月1日に家が建っていれば、年の途中で壊しても家屋の固定資産税は1年度分かかるとしています。月割りで戻る仕組みではありません。
売るつもりなら、壊さずに売ったほうがいいですか
家があるほうが特例で土地の税金は軽く、壊す費用もかかりません。ただ、古い家があると買い手がつきにくい土地もあります。どちらがいいかは、空き家を更地にしても売れないことがあるで考え方を整理しています。
まとめ|空き家を壊すなら、1月1日を中心に予定を組む
固定資産税は1月1日の状態で1年分が決まる(地方税法359条)
1月1日に家が建っていれば、その年に壊しても家屋の税金は1年度分かかる
家を壊して1月1日を迎えると、土地の住宅用地の特例がなくなる(地方税法349条の3の2)
年をまたぐ工事の扱いは自治体で違う。勧告を受けると家があっても特例が外れる
壊したら1か月以内に滅失登記。時期は見積もりで日程の目安をつかんでから決める
解体の時期は、「いつ壊したいか」より「いつ1月1日を迎えるか」で考えると整理しやすくなります。納税通知書で土地と家屋の税額を確かめて、見積もりで日程の目安を聞く。その二つがそろえば、何月に壊すかは自然に決まります。

