
実家を売ろうとしたら、不動産会社に「旧耐震なので、ちょっと厳しいですね」と言われた。
その一言で、急に家が重たく見えてきませんか。親が長く暮らした家なのに、値段がつかない家だと言われたような気がする。私も親の家のことを調べはじめたころ、この言葉にずいぶん身がまえました。
でも、調べていくと意外なことがわかりました。旧耐震かどうかは、築年数では決まらないのです。そして旧耐震の家には、旧耐震だからこそ使える国の特例まであります。
この記事で分かること
旧耐震の家が売れにくいと言われる本当の理由
旧耐震かどうかを、手元の書類で確かめる方法
旧耐震の家だからこそ対象になる国の特例と、その期限
あなたの家に合った売り方の選び方
制度の部分は、国土交通省と国税庁の資料で確かめました。2026年9月24日に確認しています。
旧耐震の実家が「売れない」と言われる理由
売れにくいのは、住むために家を探している人が地震への不安から手を引きやすいからです。家そのものに価値がないわけではありません。相手を変えれば、旧耐震はそこまで大きな壁にはなりません。
国土交通省は、昭和56年以前に建てられた建物について、耐震基準が強化される前の基準で建てられていて耐震性が十分でないものが多いと説明しています。家族で住む家を探している人なら、ここを気にするのは自然なことでしょう。
売るときにも、この点は表に出ます。昭和56年6月1日より前に工事を始めた建物が耐震診断を受けていれば、その結果を重要事項説明で買い手に伝える決まりです(宅建業法施行規則16条の4の3)。隠して売れる話ではないのです。
一方で、土地として見る人や、古い家を事業として買い取る会社にとっては事情が違います。同じ家でも、だれに売るかで「厳しい」の意味はがらりと変わります。
旧耐震かどうかは、築年数ではなく日付で決まる

生成AIで作成したイメージです
境目は昭和56年6月1日です。ただし、見るのは家が完成した日ではありません。建てる前に役所で受ける「建築確認」の日付です。
家は、確認を受けてから工事をして、できあがるまでに半年や1年かかることもあります。たとえば昭和57年の春に完成した家でも、確認が昭和56年5月なら旧耐震です。反対に「うちは築45年だから旧耐震」と思いこんでいたら、じつは新耐震だったということも起こりえます。
不動産会社が築年数だけを見て言っているなら、確かめる価値は十分にあります。見分け方の順番は、次のとおりです。
旧耐震かどうかの見分け方
1確認済証がある → 確認の日付が昭和56年6月1日以降なら新耐震
2確認済証がない → 登記の表題登記が昭和57年1月1日以降なら新耐震の見込み
3どちらもない → 役所の建築の窓口で確認の記録を聞く
確認済証を探す
いちばん確かなのは、建てたときに役所から受け取る「確認済証」です。国土交通省の住宅リフォームの補助事業のQ&Aでも、確認済証で建築確認日を確かめる方法が挙げられています。親の書類の中で、家の図面といっしょに眠っていることが多いものです。
登記の日付で、見当をつける
確認済証が見つからないときは、登記の書類を見てください。同じQ&Aでは、戸建て住宅なら表題登記の日付が昭和57年1月1日以降のものを、昭和56年6月1日以降に工事を始めた住宅とみなしています。その補助事業での扱いですが、見当をつける目安には十分なります。
書類がないときは、役所で聞く
何も残っていなくても、あきらめなくて大丈夫です。市役所や区役所の建築の窓口に、建築確認の記録が残っていないか聞いてみてください。
旧耐震の家だからこそ使える国の特例がある
相続した空き家を売ったときの税金の特例は、昭和56年5月31日以前に建てられた家が対象です。つまり、旧耐震の家のための特例。調べていて、いちばん驚いたのがここでした。
国税庁のページによると、主な条件は次のとおりです。
相続が始まったときに、亡くなった人がひとりで住んでいた家
相続が始まってから3年以内に売り、売る金額が1億円以下
売るときに耐震基準に合っているか、家を取り壊している
令和6年1月1日以後の売却なら、売った年の翌年2月15日までに買い手が耐震改修か取り壊しをする形でもよい
相続した人が3人以上なら、控除の上限は1人2,000万円
令和9年12月31日までの売却が対象
ほかにも細かい条件があり、使えるかどうかは家ごとに違います。売る前に、税務署か税理士に確かめてください。国税庁のページは「令和8年4月1日現在法令等」の内容です。
No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)
「相続から3年」は、思ったより短い
気をつけたいのは期限です。相続から3年と聞くと、長く感じるかもしれません。でも名義を変えて片付けて売り先を探して…とやっていると、1年や2年はあっという間に過ぎます。
しかも令和6年からは、買い手が取り壊しや耐震改修をする形でも条件に入るようになりました。古い家に自分で手を入れなくても、対象になりうる道が広がったということです。動くなら、期限に余裕があるうちがいい。
旧耐震の実家の売り方を選ぶ
売り方は、家の状態と、あなたがどれだけ時間と手間をかけられるかで決まります。
| 売り方 | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 耐震診断をしてから仲介で売る | 時間をかけてでも、住む人に高く売りたい | 診断や改修の手間。売れるまでの管理 |
| 壊して土地として売る | 土地に買い手がつきやすい場所 | 解体費の先払い。壊すと税金が上がることも |
| そのまま買い取ってもらう | 早く手放したい・遠方・直すお金をかけたくない | 値段は仲介で売れた場合より下がる |
耐震診断をしてから売る
住むつもりの人に売りたいなら、耐震診断を受けておくと話が進みやすくなります。国土交通省によると、耐震診断や耐震改修には国と地方公共団体の支援制度があります。補助があるか、いくらかは自治体ごとに違うので、市役所の窓口で聞いてみてください。
家を壊して、土地として売る
古い家を壊して、土地として売る道もあります。ただし、壊したあとに固定資産税が上がることがあります。壊しても売れない土地があることも、先に知っておいてください。くわしくは空き家を更地にしても売れないことがあるにまとめています。
そのまま買い取ってもらう
診断も解体もせずに手放したいなら、古い家の買取をしている会社に頼む方法があります。いちばん手間が少ない道です。仲介と買取のどちらが合うかは、空き家は仲介と買取どっち?で考え方をまとめました。
迷っているなら、まずは買取でいくらになるかだけ聞いてみるのがおすすめです。金額がわかると、「それなら診断してでも仲介で売ろう」とも「これで手放そう」とも決めやすくなります。比べる物差しがひとつ手に入るわけです。
旧耐震の実家について、よくある質問
旧耐震基準は、築何年までですか
築年数では決まりません。建築確認の日付が昭和56年5月31日以前かどうかです。2026年の時点で築45年前後の家は、どちらの可能性もあります。書類で確かめてください。
築50年の家でも売れますか
売れないと決まっているわけではありません。住むための買い手には慎重な人が多い一方で、土地として見る人や、古い家を買い取る会社もいます。相手を選べば、話が進むことは十分あります。
耐震改修してから売ったほうが高くなりますか
改修にかけたお金が、そのまま値段に上乗せされるとは限りません。改修する場合としない場合の両方の見立てを、不動産会社に聞いてから決めるのが安全です。
まとめ|旧耐震の実家は、まず日付を確かめる
旧耐震かどうかは、築年数ではなく建築確認の日付で決まる(昭和56年6月1日が境目)
確認済証があればいちばん確か。なければ登記の日付で見当をつける
相続した空き家の特例は、昭和56年5月31日以前に建てた家が対象(国税庁)
特例は相続から3年以内の売却。令和6年からは買い手が壊す形でも条件に入る
早く手放したいなら、まず買取の金額を聞いて比べる物差しにする
「旧耐震だから売れない」と言われると、家に価値がないように聞こえてしまいます。けれど日付を確かめて使える制度を知れば、見え方はずいぶん変わります。あとは事情をわかってくれる相手を選ぶだけ。
手元の書類を探しながら、買取ならいくらになるのかも一度聞いておく。それだけで、次にやることがはっきりします。
空き家買取本舗の運営は有限会社マツドホーム(千葉県東金市・宅地建物取引業 千葉県知事(1)第18397号)です。2026年9月24日に会社案内で確認しました。


